お気に入りの本の話
初めて読んだ小説はアガサ・クリスティだった。両親が好きで家に古い文庫本がたくさんあった。小学生には少し難しかったけれど(おとこを[漢]と書かれていて辞書を引いた記憶がある。漢って……北山宏光か!!!)、家にあった分は全部読んだ。
そんな私のお気に入りの本を紹介する。
※多少のネタバレを含むので、ご注意ください。
まず、表紙の美しさ。
濃い空のような青と、タイトルの黒。藤ヶ谷くんによく似合いそうだ。
要約すると、
「五股男の別れの物語」
こう書くとゲス男かよ!?ってなるけど、そんな感じはない。[バス]に乗らされる前に、5人の恋人にそれぞれきちんと別れを告げる男からは誠実ささえ、感じてしまう。見張り役の繭美には確固たる信念があり、その信念にない言葉は辞書から消える。さながらナポレオンのようだ。(そんな彼女はナポレオンらしからぬ巨体の持ち主)
頭に映像が描きやすいので、映画化されると「思っていたのと違うー!!!」ってなるパターンの小説。
別れを告げた五人の女性たちの顔を思い出し、彼女たちとの時間を必死に蘇らせることで自分を保った。
キスマイの中で主人公を選ぶなら宮田俊哉。「困った人を助けることによって自分が損してもいいという優しさ」を持つ役が何とも似合いそうな仏フェイス。
伊坂幸太郎の中で、最も好きな作品。
第1回本屋大賞受賞作品。
80分しか記憶がもたない「博士」家政婦の「私」その息子「ルート」3人の物語。
前半は心温まるストーリーだが、起承転結の「転」で私の気持ちは奈落の底へと突き落とされる。私的には決してハッピーエンドではない。かと言ってバッドエンドというわけでもなく、ただただ結末に泣く。小説だからといって、人は助からない。でも、そこに見える「変わらないなにか」に心を刺され、涙が止まらない。恋愛小説でもあり、数学の指南書でもあり、子どもの成長物語でもあり、ヒューマンドラマでもある。あぁ、もっと数学勉強すればよかったな。
神は存在する。なぜなら数学が無矛盾だから。
そして悪魔も存在する。なぜならそれを証明することはできないから。
既に映画化されているが、かわいいルートを北山宏光に演じてほしい。
泣きたい時の1冊。
●ぼくのメジャースプーン(辻村深月)
学校のうさぎが惨殺された。発見した「ふみちゃん」は心を閉ざしてしまった。「ぼく」は自分の特殊な能力で犯人に復讐する。
こう書くとミステリーとかサスペンスに聞こえるけど、全然そんなことない。
誰しも「良いとは思っていないけど、やらずにはいられないこと」ってあると思う。でも、やり方によっては誰かを傷つけたり、自分が傷ついたりする。さぁ、自分ならどうする?と、考えさせられる1冊。
誰かが死んで、それで悲しくなって泣いてても、それは結局、その人がいなくなっちゃった自分のことがかわいそうで泣いてるんだって。人間は自分のためにしか涙が出ないんだって、そう聞きました。本当ですか
犯人を藤ヶ谷くんに演じてほしい。藤ヶ谷太輔の闇の演技後援会。
辻村深月の作品は、複数にわたって同じキャラクターが出てくるので、「ぼく」の名前も他の作品で明らかになる。キャラクターの成長が見られて「君はそんな人生を送っていたのか。」とその人の人生を垣間見たような気持ちになる。
他にもお気に入りの本はたくさんある。もっとたくさん、お気に入りに出会いたいな。